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「新型うつ」は病気か?それとも...。Vol.7

「『新型うつ』の一つと言われている『非定型うつ』によく効く治療法を発見したんです。」赤坂クリニックの

貝谷氏はおもむろに切り出したそうです。「この病気に関わって24年…。こんなにはっきり効いたのは初めての

ことなんです。」

 

非定型うつの特徴は、「すきな事は出来るが嫌な事は身体が動かない。過食や過眠、手足が鉛の様に重い疲労感。

感情の抑制が効かないことがある。」などが上げられる。もともと自分への評価が高い人や、二十代〜三十代の

女性に多い。回復には一進一退を繰り返しながら数年はかかるのが常とされている。

 

前回は精神疾患の研究者の側からの意見を取り上げ、「新型うつ」はうつ病ではないとしました。「抑うつ状態」

という玉虫色の診断書が患者数を増やしているとも指摘しましたが、これらは全て研究者の意見で臨床の立場に

居る方々は別の意見があるだろうと想像出来ていたのですが、案の定、彼らは、「現状は、うつ症状だと訴える

クライアントに向き合わざる負えない、臨床の立場を全く理解していないと不満を述べる。

「臨床医は日々、患者と向き合っている。目の前に苦しいと訴える人が居れば、治療しない訳にはいかないので

す。」と言われました。

 

「仕事は出来ないが、好きな事はできる。」という現象を「仕事は出来ないが遊びは出来る。」という言葉に置

き替えてしまうから、みな腹がたつのではないだろうか。「高いストレスが掛かる事はできないが、低いストレス

のかかることなら出来る」と置き換えてみると、昔から言われていた「逃避型うつ」に当たるのではないだろうか。

これは「軽いうつ」と分類されていました。だから、今の「新型うつ」も軽少ではあれ、うつ病であることに変わ

りはないと考えられます。今の20代〜30代のうつ患者には共通点があるのです。

 

それは、過酷なまでに社会に過剰適応しようとする若者達の姿です。コミュニケーション力が求められればそれに

適応しようとテンションを上げ、疲弊し、うつに陥るというパターンが多いのだそうです。抗うつ剤はこの手の患

者には全く効きません。うつ患者の5割が薬物を使わずに自然治癒しています。というか、薬物が効きにくい別の

病気と併発している患者が増えているようです。パニック障害とうつ、ただのうつ病に見えたが、実は双極性障害

(躁うつ病)といった具合に複雑化しています。

 

さて、最初に書いた「非定型うつ」の特効薬の話ですが、貝谷先生は「新型うつ」が増加している要因は、「過

保護」に育てられた打たれ弱さだと明言なさいました。「いい学校に行くために勉強ばかりして、大学生になった

子達が、その流れのまま社会人になっています。みんな良い子で、ストレス一つ感じずに親の庇護の元で育って来

た結果、本来成長過程で経験するはずのしごきや厳しいストレスを全く経験していないので、乗越える力も持って

いません。そのまんま育って来てしまったのです。会社で上司にガツーンとやられたのが、初ストレスという若者

が多過ぎるため、そんな些細な事がトラウマとなってうつ病を引き起こしているのです。

 

上司に一度雷を落とされたぐらいで出社拒否になったり、うつ病と診断されたりしています。でも、適切な診断と

適切な投薬があれば、精神疾患は改善される。と貝谷氏は言い切っています。「大事なのは、その患者さんの足跡

をきちんと聞き取り調査することです。どんな背景でどんな症状が出たのかをしっかり聞き、診断と処方をする。」

これを怠っては何も解決しません。貝谷氏の長年の経験と治療法に裏付けされた上で、辿り着いたのが「非定型う

つ」とPTSD(心的外傷後ストレス障害)の症状の酷似点だと言うのです。その鍵は「フラッシュバック」でした。

 

「非定型うつ」のクライアントさんは人に言われた事を何でもネガティブに捉えてしまい、過敏に反応するという

「拒絶過敏症」という症状が強く出て来ます。強いストレスとなり、抑うつ的になる過程で見落とされていたのが

フラッシュバックでした。誰でも失敗したり怒られたりしたら嫌な記憶として残ることはあり得るのですが、「非

定型うつ」では、その記憶の蘇り(よみがえり)=フラッシュバックが、頻繁に、そして強く起きるのです。その

上、相手が褒めてくれた言葉までもその裏を勝手に読み取り、ネガティブ思考に落ち込んで行く。それが悪循環と

なって、うつ症状が進んでしまう。という現象が、PTSDと酷似していることに貝谷氏は気付いたのです。

 

トラウマ(心の傷)体験(戦争や災害などの恐ろしい体験を経た人がなる精神障害)、れっきとした精神疾患なの

です。恐い、恐ろしい体験をフラッシュバックで繰り返し思い出す。それが原因で強いストレスが起き、恐怖や無

力感、苦痛を味わう病です。

 

戦争や災害ほど過度では無いが、上司にガツーンとやられた経験や激しくプライドを傷つけられた体験も、社会経

験の乏しい若者にとってはPTSDと同じトラウマなのではないだろうかと貝谷氏は考え、PTSD用の薬物が効くので

はないかと考え、処方した所、見違える様に効果が現れたのだそうです。そう、「非定型うつ」の根源は、嫌な体験

記憶のPTSDだったのです。脳内で過去の嫌な記憶を活性化させない薬理効果を処方した方法が、功を奏したようだ。

(つづく)

悩むms.jpg戦争ms.jpg災害ms.jpg

壊れた心ms.jpg

 

 

 

 

 

 

        

                 戦争              災害             トラウマ

 

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